Paoの技術力を磨くブログ

機械学習やブロックチェーン等の技術を身に付けていくブログです。

転職エントリ ~大企業と育児と年齢とKaggleとキャリア~

初めての転職をしました。

2020年4月末を持って新卒から7年間勤めた会社を退職し、今年の5月から新しい会社で働いています。

自分に境遇が近い人などの参考になればと思い、書きました。

長くなると思うので、お題毎に気になるところだけでも読んでもらえると嬉しいです。

※前職及び転職先の会社名は書いていませんのでご了承ください。

簡単な自己紹介

  • 31歳
  • 情報系の修士卒で新卒から8年目
  • 一児(2歳)のパパ
  • 機械学習を学び始めたのは4年前くらい
  • Kaggle好き(Kaggle Master)

前職について

会社はいわゆるJTC(Japanese Traditional Company)と呼ばれるようなIT系の大企業でした。

最初の3年はWeb系のSIerみたいな仕事で、後半の4年は研究開発の部署で、機械学習を使ったユーザデータの解析やサービス検証などをやっていました。 入社3年目あたりで、趣味である麻雀のAIを作ってみようと思ったことがきっかけで、機械学習の面白さにハマり、仕事もそっち寄りのことができる部署に異動しました。

どんな会社か

働き方としてはかなりホワイトで、給料もそれなりにいいので、向いてる人には良い会社と思います。 またR&D系の部署では、良くも悪くも直接ビジネスをするわけではないため、業務の自由度は高かったです。

良かったところ

休みの数がかなり多い

年休20日+夏季5日+年末年始で、ほぼ強制的に消化しないといけません。 旅行が好きな人やプライベート充実させたい人には向いてると思います。 コンペ休暇とりたい人も向いていると思います

扱えるデータの種類・量が多い

これはデータサイエンティスト、機械学習エンジニアであればこそですが、嬉しいポイントです。 国内でも有数レベルのユーザ数とデータの種類があり、やろうと思えばほんとに色んなことが出来たと思います。 また、先人たちのおかげでそれらが一元的に管理されてるのもありがたいです。

ただしデータをうまく活用してサービスに応用するためには、それなりの社内調整力が求められます。

その他

これは個人的な部分になるのですが、「Kaggle Days Tokyo」や「海外の国際会議」に業務として聴講で行かせてもらえたことは非常に満足で前職に感謝しています。

自分には合わなかったところ

煩雑な事務処理系のタスクが多い

転職の理由の一つです。人にも寄りますが、かなりの時間を取られます。 契約関係の処理や固定資産管理、セルフアセスメント、現物調査、セキュリティチェック、社内e-learningなどなど。。しかもそれらが使い勝手の悪い社内システムと合体することで、より凶悪になります。 特に辛かったのが、数カ月ごとに他の人の出張申請などをランダムにN件以上確認して、添付資料や出張の食事代などを目視でチェックしていく仕事でした。もう二度としたくないですね。。

全国転勤/ジョブローテーション

大企業あるあるですが、基本全国転勤があります。 円も縁もない九州に飛ばされたり、家を買った直後に転勤したり、色んな悲劇を見てきました。 また転勤はなくても、定期的な異動はあり希望していない部署への異動はよくあります。 それを込みでの給料だったりするので、仕方ないことなのかもしれません。 幸い業務内容的に全国転勤の可能性は低めではありましたが、小さな子供と離れて単身赴任するのも嫌だったので、変なところに飛ばされる前には辞めたいと思っていました。

中間管理職に向けたキャリア

これも普通の大企業どこでも似てると思いますが、総合職のため昇進すると、一般社員→主査→担当課長→・・・(無限と続くピラミッド)と続き、担当課長あたりから完全にマネジメントで、コードを自分で書くことはほぼ無くなります。 またマネジメント職になってもまたまだ上にたくさんの人がおり、板挟み状態が続きます。社内政治がうまい出来る人は担当課長くらいでも実質的な裁量もありますが、基本はいわゆる中間管理職です。

私自身は、現時点ではまだプレイヤーとして磨きたいと思っていて、マネジメントするにしてもプレイングマネージャーみたいなポジションがいいなと思っています。そんな私にとっては前職の会社のマネジメント職での仕事が楽しそうとは思えませんでした。 また、データサイエンス分野ですごく優秀な先輩がいたのですが、課長に昇進したら、「コード書いてる場合じゃないよ」と上司に言われ、その後も会議に追われてる姿を見てしまったのも追い討ちになりました。

その他

他にも前職について思うことはありますが、直接転職とは関係ない部分なので省略します。

転職の理由

仕事の時間を出来る限り楽しい&スキルアップできる時間にしたい

プライベートな時間は取れる会社だったので、2年前くらいまでは仕事以外の時間で自分の好きなこと(機械学習やプログラミング)をのんびりとやってました。 しかし、子供が生まれてからは家族の時間を優先しており、仕事以外で使える時間がかなり限られるようになりました。 そうなったとき、仕事の時間というのが自分の中でとても貴重な時間であると気付き、出来る限り自分のやりたいことに充てたいという思いがかなり強くなりました。 そして、上に書いたような事務処理は当然やりたいことではなく、本当に勿体ない時間に感じ、やりたいことに注力できる会社で働きたくなりました。

将来的なキャリア

これも上に書いたとおり、中間管理職に向けたキャリアは自分の描くキャリアとは方向性が違ったので、それが実現できる道に進むことにしました。

転職における軸・条件

カジュアル面談などをしながら、少しずつ軸を固めていき、最終的には以下の軸・条件で決めました。

  • エンジニアリング&データサイエンスができる(時間的にもそこに注力できる)
  • 自分が伸ばしたい分野で優秀な人がいる
  • 多くのデータに触れて、データサイエンスの技術の幅を広げられる
  • 小さな子持ちでも安心して働ける
  • 給与:現状以上

スキルアップ面を重視しての転職のため、給与よりも他の条件を重視しました。

転職先について

最終的には、2社選考に進むことにして、ありがたいことに2社ともに内定をいただくことができました。

その2社でかなり悩んだのですが、現時点でやりたいことに近いと感じた機械学習をメインとした某ベンチャーに行きました。 同分野の中では比較的歴史のある会社だと思います。

私のポジションとしては、受託に近いデータサイエンティストといった感じです。

話を聞いた中で一番、軸・条件がマッチしていると感じたのでそこに決めました。

2ヶ月くらい働いた現在、とてもマッチしてると感じてますし、転職してよかったと思ってます。

30歳過ぎ・子持ちでの大企業からの転職

ここについては今回非常に考えさせられました。

自分がやっていきたいデータサイエンス・機械学習の領域はレッドオーシャンですし、何より学生でもバリバリ実力をもっている人がたくさんいる世界です。

そんな若者を自分と比べると、現時点のスキル以外にも特に

  • 若者が勉強に使える時間に比べて、子持ちの自分が使える時間が圧倒的に少ない
  • 求める給料条件が自分の方が(現状を維持しようとすると)高く、それに見合う能力があるか怪しい

というところは悩まされました。

特に2つ目は大きかったです。それなりに労働条件の良い大企業で30歳まで働いていると、そこそこ良い給料が普通に働いていればもらえます。 スキルがあるかどうかに関わらずです。 そして転職しようと思ったときにそれなりの給料である現状を維持しようとすると、ベンチャーだとかなり高い方になりそれに見合うだけの能力が要求されます。

しかし、何も考えず大企業で働いていると、自分が今もらっている給料が世間的に実力に見合うものかと言われると、そこに差があることに気付きます。 もちろん大企業でも実力をつけることはできますが、意識的にしないと社内調整力とかで成果をあげることに慣れ、社外で客観的に分かるスキルセットがない。。。みたいなことになりがちです。

そして自分のやりたいことを求めて転職をしようと思ったときには、現状の能力的に給料を下げざるを得なくなる。しかし、子供もいる身なので給料を下げることはなかなか厳しい。。となったりします。(自分もなりかかっていました)

私の場合幸いにも仕事でも機械学習の経験を積んでいて、趣味でもプログラミングしたりKaggleをしたりしててそれが功を奏して何とか転職できましたが、 それでも世間の相場にあっているかと言われると自信はないですし、給与条件が合わず選考に進むことを断念したケースもありました。

Twitterによる転職

転職活動としてはtwitterをメインに活用しました。 (他にも一部Wantedlyやイベント経由での転職活動も少しありましたが)

下記の通り、拡散は希望せずに主にフォローいただいてる方に対して発信しました。

元々知っている方を中心に、ありがたいことに10~20件のDMをいただきました。 特にこのツイートをした時点ではatmaCupでの優勝もKaggleMasterにもまだの時だったので、それでもこれだけ声をかけていただけるのは驚きでした。

業界について知らないことも多かったので、10件近くのカジュアル面談を実際にしました。

個人的にこの転職の方法はかなり良かったです。

良かった点としては

  • 日頃のTLである程度自分のことを知った上での声がけなので、期待値齟齬が少ない&履歴書/職務経歴書を頑張らなくてもよい
  • 元々知っている人からの紹介のため、良い会社であることが多い(自分の会社が微妙だと思っている場合は紹介しないはず)
  • 業界的に無限に会社があり、自分で探しても良く分からない

知っている人からDMいただけるのは嬉しかったです。 特にkaggleでチームを組んだことある方から声がけいただいたのはとても嬉しかったです。

また、拡散希望しなかった理由としては、 仮にたくさんDMが来たときに対応しきれないのと、拡散すると実質転職サイトのスカウトとあまり変わらなくなるためです。 私の場合は、拡散しなくて良かったと思ってます。

10年前くらいに始めたTwitterで当時は麻雀とテニスのツイートしかしていなかったアカウントがまさか転職に役に立つとは思いもしませんでした。 Twitter続けてるといいこともあるものですね(笑)

※求める条件に合う会社が少なかったり、元々その業界のフォロワーがあまりいない場合は微妙な方法かもしれません。

JTCも悪くない

割と世間では、JTC(Japanese Traditional Company)/大企業に対してのネガティブなイメージが増えている印象があります。 (スペックの低いPCや、昭和時代と思われる新入社員研修、ハンコリレー文化など)

しかし、向き不向きなのかなと最近感じます。 「前職について」の部分で書いたところとも被りますが

  • 利益が安定しているため、研究開発にも十分に投資している(結果的に社会人PhDをとれたり、やりたいことに予算を取れたり)
  • 休みが多く、プライベートな時間を確保しやすい
  • うまく立ち回れば、テコの原理的にインパクトの大きい仕事もできる

といったところはかなり良いのかなと個人的には思います(会社にもよりますが)。

研修とかへの寛容さと自分のキャリア・能力について意識さえしてれば、選択肢として十分だと今でも思ってます。

今回の転職活動を通じて改めて感じた良い部分だったので、前職のフォローではないのですが書いてみました。

転職と育児

育児についても転職する上でかなり考慮しました。 特に私の転職タイミングと妻の復職・保育園入園のタイミングが重なっていることもあり、条件的に合わずに選考に進まなかった会社もたくさんありました。

どこの会社も会話すると「考慮するよー」と言ってくれるのですが、実際入ったらうまくいかないことも多々ある気がしています。 特に元々の会社が育児面への配慮はかなりあったため、転職した結果、家庭に大きく迷惑をかけるといったことは極力避けたくてかなり慎重でした。 私の場合以下の2つをみて判断しました。

  • 実際に子持ちパパかつ育児に積極参加している人が働いている会社なのか
  • 労働時間・働き方的に融通がきくのか

1つ目は、ベンチャーの場合まだ若い人が多く家庭持ちがあまりいない人会社もあり、そう言った場合面談した人は問題なくても、 実際に一緒に働く人たちが家庭に理解あるかと言われると別問題だと感じました。 特に育児については、仕方がないのですが、実際に理解しているつもりであっても育児を経験していないと分からないこともたくさんあると思っています。 そういった意味でも実際に似た境遇の人が既に働いているのかは大事でした。

2つ目は、保育園に通わせて共働きな以上、柔軟な働き方は大事でした。 具体的には「急な熱で保育園に迎えに行っても労働条件的に大丈夫か?」「在宅勤務が可能か?」という部分は必須条件でした。

実際今これらを十分に満たしている会社で働いているのですが、withコロナの状況下ではより助かっていて、しっかり選んで良かったと本当に思ってます。

転職とkaggle

「Kaggleが転職に役に立つのか?」みたいな話が時々Twitterでも話題になりますが、私の場合はかなり役に立ちました。 そもそも上で書いたTwitter転職ができたのもKaggleのおかげだし、Kaggleしてなかったら転職する気になっていなかった可能性すらあるのですが。

ただ「Kaggleやってれば転職できる」とか単純なことではなくて、分解していくと以下のようなメリットだったのかなと思ってます。

  • 客観的なコンペの結果があり、書類選考で落ちにくい
  • Kaggleをやる中でコミュニティに参加していけば人脈が作れる
  • プライベートな時間も積極的に学ぶ姿勢が見える

なのでKaggleやってれば転職できるかと言われるとそうは言えないし、転職のためにKaggleやるべきかと言われたら他にやったほうがいいことがもっとあると思います。 私の場合は転職にも役立つかもという思いは少しはありましたが、Kaggleは好きでやっているだけであり、それが結果的につながったというだけです。 Kaggleが役に立つというより、(ある程度仕事に関係しそうな範囲で)好きなことを極めていくということ自体は役に立つのかなとは思います。

またKaggle Expertの時に転職活動を始めましたが、仮にKaggleMasterになってたとしても結果的には何も変わらなかったと思います。(GrandMasterくらいなれば別かもですが)

私の場合は、Kaggleでの成績だけでなく、機械学習周りでの業務経験があること、面談の中での性格的なマッチ度合いが高かったといったことが重なって内定をいただけたのかなと思っています。 (選考途中でKaggleでソロ金とatmaCup優勝できたのも役に立ったのかもしれませんが、それはよくわかりません。)

今後のキャリアについて

ここについて語ると長くなりすぎるので、ほぼ書きませんがざっくりとは以下のようなイメージで考えています。

  • データサイエンスでの技術的な幅を広げる
  • エンジニアリングもしっかりできるようになる

よくあるモデリング以外に「エンジニアリング」と「ビジネスサイド」どちらを強めていくか?みたいなことにはけっこう悩みました。 が、自分自身データサイエンス関係なく、コードを書いて何かを作るということが好きなのでその純粋な気持ちを大事にしてエンジニアリングを強化したいと思っています。

年齢と市場的な部分もあり他にも考えていることは多々ありますが、そこは今回は省きます。

最後に

今回の転職活動で、声をかけてくださったり気さくにカジュアル面談をしてくださった会社の方々、相談に乗ってもらった友人など多くの方に感謝しております。 今後の長いキャリアの中で一緒にお仕事をする機会があれば嬉しいです。

また、今回の転職エントリが自分と近い境遇の誰かに役立つと嬉しいです。

そして新しい会社に入ったところでまだまだこれからなので、しっかり活躍したいと思います!! 長文を読んでいただき、ありがとうございました!!